本研究の目的は、異なる専門職が関わる認知症高齢者の在宅環境配慮実践時に有用なツールとなりうる「認知症高齢者のための在宅環境配慮実践プログラム」を開発することである。 ここで言う「認知症高齢者のための在宅環境配慮実践プログラム」とは、「(1)介護支援専門員や家族介護者が、(2)認知症高齢者の在宅生活や在宅ケアを支える在宅環境配慮実践にあたって、(3)適切なアセスメント、ケア目標・生活目標に沿った在宅環境配慮実施およびその評価という明確なプロセスに基づいて行うことにより、(4)認知症高齢者と家族介護者の生活の質の向上に寄与することを目指すプログラム」を指し、現場の専門職や家族介護者と協力しプログラムを開発することを目指すものである。 平成20年度の研究では、(1)在宅環境配慮のニーズを把握するアセスメント項目の検討、(2)在宅環境配慮の現状と課題を把握するチェックリストの検討に取り組んだ。(1)については、事例検討会を開催し、介護支援専門員等の専門職と共同で3例の事例研究を行う過程でアセスメント項目に関する検討を行った。(2)については、認知症高齢者の生活する東京都内の13世帯を対象に訪問調査を実施した。在宅生活を送るうえで、認知症高齢者や家族が生活しやすいように取り組まれている在宅環境配慮の具体例を収集した。その結果、100を超える実践例を収集し、これらの実践例について目的別に分類することを通じ、チェックリストの項目の検討を行った。
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