Q市の介護保険課、居宅介護支援事業所を通して、在宅で高齢者の介護・世話を行っており、就労している(もしくは過去に介護・世話を行いながら就労していた)家族介護者(25ケース)を対象に、介護・家事・仕事・地域交流の実施状況、介護保険サービスおよびインフォーマルなサービスの利用状況とそれへの意識等について、インタビュー調査を行った。 その結果、家族介護者の生活調整困難は主に「労働強度を上げる」という方法で対処されており、それが身体的・精神的症状を引き起こしていることが明らかになった。さらに、介護保険サービスやインフォーマルなサービスがこれらの問題に対して有効な支援を展開できていないことも明らかになった。 その原因のひとつとして、「高齢者の介護」および「家族介護者の介護問題」のみに焦点を絞った高齢者福祉政策の展開があるとして、今後は「家族介護者の多様な生活問題」を対象とした制度政策、各種サービスの充実が不可欠であるという結論に至った。
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