2年間の研究計画の1年目にあたる平成20年度は、主として、2つの児童養護施設を対象としたインタビュー調査(「施設形態のあり方調」および「専門性調査」)を実施した。 1. 「施設形態のあり方調査」について 対象である児童養護施設のうち、1施設は小舎制から大舎制(一部、大舎制へ移行、小舎制も継続されている)、もう1施設は、大舎制から小舎制へ移行した施設である。施設形態変更においては、いずれの施設も「子どもたちの生活保障」という観点からの決断がなされており、その目指すところは共通しているのであるが、2つの対象施設は、施設形態の移行という観点から見れば、異なる道を選択している。また、前者は、職員と子どもとの関係においてチームアプローチを、後者は担当制を採用しており、この点についても、両者とも子どもにとっての「継続的な支援」を念頭に置いているのであるが、それを実現する手段としてのケア・アプローチの方法は異なっている。 2. 「専門性調査」について 当該調査では、児童養護施設職員の「専門性」について明らかにすることを目的としている。インタビューを通して、現時点で明らかになったことは、職員一人ひとりの力量・専門性を高めることと同時に、職員集団としての力量・専門性を高めることが実践において必要であるということである。経験年数や職位等が異なる施設職員が、いかに連携を図りながら、子どもたちの最善の利益に資する生活支援を行うことができるのかにっいては、個々人の専門的自己形成と同時に職員集団としての成長発達が求められる。この点については、次年度に実施予定である職員を対象としたアンケート調査を通して、力量・専門性の中身の検討と同時にそれを養う手段の一つである「研修」に焦点を当てながら、検討を行う予定である。
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