2年間の研究計画の2年目にあたる平成21年度は、昨年度からの継続として、引き続き、対象である2つの児童養護施設における補足インタビュー調査(「施設形態のあり方調査」および「専門性調査」)の実施、および上記2つの施設に1施設を加えた3施設の施設職員(直接処遇職員)を対象としたアンケート調査を実施した。 1.アンケート調査の概要対象:インタビュー調査の対象であった2つの施設に加え、2つの施設同様、施設形態の移行を行った1施設を加えた3つの児童養護施設職員68名。施設形態の移行については、「大舎制」から「小舎制」、「小舎制」から「一部大舎制」、追加施設は「小舎制」から「大舎制」への移行である。 期間:平成21年9月中旬~11月下旬 調査方法:アンケート調査(自記式調査) 調査目的や実施方法等について事前説明を行い、調査協力を得られた施設に調査票を持参し、施設長を通じて職員に配布を依頼、回収については郵送による個別回収を行った。 回収率:72.1%(有効回答数49票) 2.調査結果の概略:調査結果から得られた内容は、これまでの調査研究を支持するもの、すなわち、「専門性」を形成し、継承していくためには、「職場の人間関係」を含む「職場の労働環境」が重要な位置を占めることを確認した。希望する研修内容としては、職員集団の形成(例えば、チームワーク等)に関する内容が多く見られた。また、注目すべきものとしては、施設形態に応じた研修内容を求める記述である。例えば、「小舎制」であれば、「小舎制」 という施設形態から生じる課題に対応するための研修内容が必要であるという指摘である。この点については、本調査研究の趣旨に沿うものであり、施設形態が異なれば、そこで生じる課題もおのずと異なってくる。当然のことながら、児童養護施設という観点からの共通課題もあるが、施設形態に応じた課題解決の方法を模索する内容の研修が必要であることを確認することができた。
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