DETとは、Disability Equality Trainingの略記で、障害平等研修などと訳されている。DETは障害者と関わる人々が、社会の差別的な慣習の本質を理解し、何をなすべきであるのかを明らかにすることを目的に、障害者本人の手によって計画・立案されるものである。講義に加え事例検討やロールプレイ、行動計画作成などで構成され、グループワークを中心にした、いわゆる参加型のトレーニングが基本となっている。障害者当人の手によって発展してきた。 いっぽう障害者をはじめ社会的弱者が地域生活を営むための社会環境づくりとして、福祉教育の試みが多様な形でなされてきた。地域住民・生徒・学生などに対する参加型のワークショップなどもそれに含まれる。本研究は、こうした試みの蓄積を踏まえたうえで、障害者の自立生活を支える環境を整えることを視野にDETに関する認識を深め障害者のエンパワメントを促進することを目的とする。 現在、日本では障害者差別禁止法立法に向けて準備が整いつつある。イギリスでは障害者差別禁止法(1995)の成立とともにDETが発展してきたと言われている。法の精神を着実かつ効果的に具体的事例に当てはめ問題解決に取り組んできたイギリスにおけるDET関連の蓄積は、障害者に関わる法律改正後の日本の地域社会にとって一助となると考えられる。以下は本研究の具体的な目的で、出版準備中・執筆中のものもあるが、おおむね達成された。 (1)実践の現場を調査することによって、DETの手法を明らかにする。 (2)エンパワメントを推進するDETを実施するため、実践を重ねることによって推敲し、実用的なマニュアルを作成する。 (3)DETの思想的・政治的背景を明らかにする。
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