研究概要 |
家族の態度やQOLと子どもの行動との関連を明らかにする客観的また科学的方法として、家族の感情表出(Expressed Emotion, EE)研究に着目し、国内で初めてとなる障害のある子どもの家族のEEを調査し得た知見をもとに、本研究は、(1) 児童デイサービスを利用する障害児の家族の感情表出研究の追跡調査と、(2) 障害のある子どもの家族感情表出の知見を基にした家族心理教育プログラムの効果の検証を行った。(1) の追跡調査では、サービスを利用しながら地域で生活している家族のEE、QOL、子どもの行動について追跡後も変わらないという結果が得られた。逆に積極的な介入がなければEEは変わらないことがわかった。(2) については、障害のある子どもの家族を対象にした心理教育の効果とEEとの関連を検討するため、大学において全4回からなる「家族教室」を実施した。「家族教室」には6家族が参加した。事後アンケートの回収に不十分な点があり、プログラムの効果を充分に明らかにできなかった。しかし、事前評価と基礎調査を比較したところ、(1)参加家族のEEは低く、(2)QOLの「全体的健康感」「活力」「心の健康」は高かったがそれ以外の項目は低いことがわかった。また、自由記述による参加後アンケートでは、「毎回充実していてよかった」「堅苦しい雰囲気ではなく、参加しやすかった」「制度について身近に感じられた」「参加された方々から知っている情報を交換し合い、少し気持ちの広がりが見られた」「当事者としてどう思っているのかきくことができてよかった」「当事者の方の話がきけてとてもよかった。共感する部分が多々あり、参考になった。」などの感想があり、家族心理教育の目的にそった内容であったことがうかがえた。
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