研究概要 |
1.介護施設における安全管理と安全文化に関する調査の実施 本年度は、介護施設における安全管理及び安全文化に関する横断的調査を実施した。本調査の目的は(1)インシデントレポート提出に関する意識や提出頻度を明らかにすること(2)介護保険施設等における安全文化の水準及び良好な安全文化を持つ組織の特徴を明らかにすること(3)安全文化とインシデント報告との関係を検討し、安全文化が介護の安全性に与える影響を明らかにすることである。調査対象は、アクシデントデータ収集に協力いただいた介護老人福祉施設に所属する介護職員、看護職員等である。調査票はインシデントレポートの提出頻度に関する項目(7項目)、インシデントレポートの提出や書き方に関する項目(4項目)、安全文化に関する項目(18項目)、基本属性項目(性別、年齢、職種、当該施設勤務年数、臨床経験年数、就業形態、リスクマネジャー等の経験の有無)で構成した。調査はプライバシーを確保するため、無記名自記式及び個別配布密封回収形式とした。 2,e-ラーニングを中心とした介護安全プログラムの開発 これまでの調査研究で収集したインシデント・アクシデント事例や介護事故防止に関する知見等を活用し、ヒューマンエラーの低減や安全文化の向上を目的としたe-ラーニング教材を開発した。学習コンテンツはパワーポイントによってスライドを作成した上で、e-ラーニング教材作成ソフトを使用してパワーポイントと映像・音声を同期化させ、ユーザビリティの高い自己学習型コンテンツを作成した。コンテンツの内容は「介護事業を取り巻くリスクとその管理」「インシデント報告の重要性と具体的活用法」「介護事故の種類と事故発生メカニズム」「介護事故と法的責任」などである。
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