研究概要 |
本研究の目的は地域子育て支援センターにおいて取り組まれている保護者の育児不安などへの相談・援助、子育てサークルへの支援場面などで活用できるファミリーソーシャルワーク実践モデルを開発することである。そこで、まず平成20年度は地域子育て支援センターを利用する子どもと家族を取り巻く地理的、社会的な環境及び心理的側面などの諸要因を検討した(新川, 2008a)。また、地域の子育ち子育て支援環境に及ぼす影響を検討するため、様々な先行研究結果に加えてグループインタビュー調査結果(新川, 2007a)、量的予備調査結果(新川, 2007b)及び事例研究結果(新川, 2008a)により得られた知見に基づいて作成した質問紙を平成20年度の本調査で使用し、そこで得られた調査結果から地域の子育ち子育て支援環境を構成する因子を探索したところ4因子から構成されていたことを明らかにした。4因子の内訳は以下のとおりである。第1因子は「子どもの気持ちを理解した関わり」と命名し5項目から構成された。第2因子は「子育ての仲間づくりと情報収集」と命名し4項目から構成された。第3因子は「子育ちを促す親子遊び」と命名し3項目から構成された。第4因子は「育児不安、ストレス」と命名し2項目から構成された(新川, 2008b)。また、親の心理社会的諸要因との関連性について把握するため重回帰分析を行った結果、子育てによる親育ちの予測において、わが子の育てにくさへの認識が有意に寄与していたことが明らかになった(p<.001***)。つまり、わが子は育てにくいタイプの子どもだと思うほど、子育てによる親育ちを抑制することが予測された(新川,2009)。
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