研究概要 |
本研究の目的は地域子育て支援センターにおいて取り組まれている保護者の育児不安などへの相談・援助、子育てサークルへの支援場面などで活用できるファミリーソーシャルワーク実践モデルを開発することである。 そこで、平成20年度に実施した地域子育て支援センターを利用する子どもと家族を取り巻く地理的、社会的な環境及び心理的側面に関する予備調査(新川,2008a,2008b)に基づいて平成21年度は下記調査を実施した。 地域子育て支援拠点施設利用者調査では、地域子育て支援センター利用者504名を対象にして、これまでの先行調査及びソーシャルワーク実践理論及び保育理論に基づいた調査項目「子育ち子育て支援環境」を作成し、調査で得られたデータはPASWstatistics17.0を用いて統計分析した。 因子分析の結果、第1因子「子育ちを促す親子遊び」(6項目)、第2因子「子育ての仲間づくりと情報収集」(6項目)、第3因子「子どもの気持ちを理解した関わり」(5項目)、第4因子「育児不安ストレス」(2項目)から構成される因子構造(α係数:.79~.81)が明らかになった(新川,2009a)。 さらに、重回帰分析を行った結果、「わが子は育てにくいタイプの子どもだと思いますか」、「子育ての大変さを自分の身に置き換えて考えていた」、「小さい子どもの子育てを大変だと思っていた」といった項目が子どもの気持ち理解に有意に影響を及ぼしていることが明らかとなった。しかし、調整済みR2の値は.12と高くないことから子どもの気持ち理解にはその他の説明変数の要因があると考えられた(新川,2009a)。 親のコンピテンスを高める実践知を探索する地域子育て支援センターにおけるファミリーソーシャルワークの探索的学習を実施し、SPSS Text Analysis for Surveys3.0を用いてその成果を分析し、子どもと家庭を支援する専門職と学生との相違点を整理した(新川,2009b)。
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