地域子育て支援拠点利用者の子育ち子育て環境を子育てサークルと子育ての準備性との関連性から明らかにするとともに、その結果に基づいたファミリーソーシャルワーク実践の内容、方法を探った。まず地域子育て支援拠点利用者の子育ち子育て環境の因子構造を検討し、「子育ちを育む親子遊び」「子育て情報収集と仲間作り」「子どもの気持ちを考慮した関わり」「子育て不安とストレス」の4因子から構成されていることを明らかにした。次に、「子育てサークルへの所属の有無」の差の検討をしたところ、子育てサークルへ所属している人の方がそうでない人よりも子どもの気持ちを考慮した関わりを行っており、子どもの気持ちを考慮した関わりは、子育ちを育む親子遊びと関係して行われていることが明らかになった。また、「子どもの出生前の子どもの世話の経験の有無」の差の検討を行った結果、経験がある人はそうでない人よりも有意に子育ち子育て環境が高い得点を得て、子育ちを育む親子遊びは子育て情報収集と仲間作りと関連していたことが明らかになった。さらに、「子育てサークルへの所属と子育ての準備性」との関連について検討した結果、子育てサークルへ所属している方が有意に子育ての大変さを自分の身に置き換えて考えていたことがわかった。以上の結果より、子育てサークルへ所属している人ほど子どもの気持ちを考慮した関わりを行っており、子育ての準備性の高い人ほど、子育ちを育む親子遊び、子育て情報収集と仲間作り、子どもの気持ちを考慮した関わりをしていたことが明らかになった。しかし、子育ての準備性の高い人ほど子育て不安とストレスの高いこともわかった。そのため、地域子育て支援拠点利用者と子育ち子育て環境との接点に生じている複雑な交互作用へアプローチし、生活上の問題を解決していくファミリーソーシャルワーク実践においては、子育て準備性の低い人に対しては、子育ちを育む親子遊び、子育て情報収集と仲間作り、子どもの気持ちを考慮した関わりを取り入れた支援を行い、子育てサークルへ所属していない人に対しては、子どもの気持ちを考慮した関わりに関する支援をよりきめ細やかに行うなど利用者ニーズに対応していく相談援助や講座のコーディネート及びケースマネジメントの必要性が推察された。
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