本研究は、児童養護施設における『権利ノート』の導入が施設現場においてどのような変化をもたらしたのかを大阪府の児童養護施設職員のインタビュー調査により明らかにしたものである。「集団指導から個人の尊重」、「子どもの声を聴く」といった変化の様相が明らかとなったが、「共通体験の不在」、「振り回される職員」、「とめられない問題行動」、「かえって混乱する子ども」といった問題も生じた。本研究は、こうした職員たちの「変えられない困難さ」を詳細に記述し、施設における権利擁護が意識向上だけでは果たされないことを示した。
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