本研究では、要支援高齢者への介護予防には、揺れる心理を理解した上で自己効力感を高めることが重要となることに着目し、通所介護における要支援高齢者の自己効力感を高める介護予防プログラムを開発することを目的としている。 本年度の研究実績として、先行研究の資料収集・分析、聞き取り調査を実施した。通所介護について、そのサービスの意義やこれまでの取り組みが紹介された論文・著書の収集分析を行った。次に、質的研究として、A市にある通所介護施設を利用する要支援高齢者合計39人を対象に、半構造化面接法を用いて聞き取り調査を実施した。内容は、利用者の求めるプログラム、心身の状態などである。 現在、その結果を分析中であるが、サービスを利用することで介護予防につながるのではないかという介護予防効果を期待し、一方では、老化に伴う心身の変化に伴い受動的態度や自己効力感の低下を感じていることが明らかとなった。 要支援高齢者の介護予防を目指したプログラム作成時には、利用者に最も適した1つの活動、つまり、自己効力感が高まりやすい活動に取り組むことができるような配慮が必要となる。成功体験を重ねることで、その活動への自己効力感が高まり、結果としてその他の活動への自己効力感も改善されて、様々な活動に積極的になると考えられる。 次年度は、認知行動的モデルを参考に、通所介護を利用する要支援高齢者に対する個別プログラムを作成する。また、開発した介護予防プログラムを提供し、参与観察を通してその効果を分析する予定である。
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