研究概要 |
本研究では,介護予防に向けて要支援高齢者の自己効力感に着目して,通所介護における要支援高齢者の自己効力感を高めるプログラム」を開発することとした。 A市にある通所介護施設を利用する要支援高齢者合計39人を対象に、半構造化面接法を用いて聞き取り調査を実施した。対象者の性別は,男性7人,女性32人の計39人であった.平均年齢は,82.4歳であり,介護度は,要支援1状態の者が12人,要支援2状態の者が27人であった。 通所介護を利用する要支援高齢者の語りについてテキストマイニングを行った結果,50回以上の条件を満たす形態素は,51あった.そのうち,名詞等に属する主要語の出現頻度が最も多かったものは,「言う」で1,065であった。次いで,「行く」「来る」「思う」「ひと」「出る」「食べる」「自分」「見る」「帰る」であった。 クラスター分析を行った結果,3つのクラスターに分類され,高齢者自身が主体的に行う行動,家を中心とした生活,自ら話をすることと推察される.これらから,高齢者が身近で行っている行動,日常的に行っており,主体的に行うことができる活動を取り入れていくことが求められていると考えられる。 要支援高齢者を対象としたインタビューデータの分析結果をもとに,要支援高齢者の身体心理的特性に配慮したプログラム作成を試みた.前田の老人用一般性自己効力感尺度を用いて実施前後の自己効力感の変化をみると,実施後に得点が変化した項目は,行動の積極性,能力への自信,社会的活動への意欲であった.実施期間中に,自己効力感の大きな変化は見られなかったが,積極性や何か役に立ちたいと思う気持ちが表れてきていた。 要支援高齢者の介護予防を目指したプログラム作成には、利用者に最も適した1つの活動、つまり、自己効力感が高まりやすい活動に取り組むことが必要となる。その活動により、成功体験を重ねることで、その活動への自己効力感が高まる。
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