研究1 : 自殺に対する態度を測定する既存尺度の信頼性・妥当性・実施可能性の検討 【目的】これまで開発されてきた自殺に対する態度を測定する尺度の、開発経緯・信頼性・妥当性に注目して各尺度の特徴を抽出し、ソーシャルワーカーに対しても使用できる、自殺に対する態度の多面的要素を含みかつ汎用性の高い尺度を選出することを目的とした。【方法】自殺に対する態度を測定する尺度の開発に関する研究を系統的にレビューした。【結果】自殺に対する態度を測定する18尺度が選出され、うち、自殺に対する態度の多面的要素を含み、かつ汎用性の高い尺度として3尺度が選ばれた。【考察】信頼性や妥当性に関していくつかの課題はあるものの、Attitude towards Suicide scaleは、臨床現場や地域での大規模研究で使用するにあたり、もっとも実施可能性の高い尺度であると考えられた。 研究2 : 自殺に対する態度尺度Attitude Towards Suicide(ATTS)日本語版の開発 【目的】ソーシャルワーカーの自殺に対する態度を測定するための尺度としてATTSに注目し、その日本語版を作成することを目的とした。【方法】オリジナル製作者からの翻訳許可取得、日本語-翻訳、自殺対策研究の専門家による検討、暫定的日本語版による試行調査、バックトランスレーション、オリジナル製作者との協議、最終加筆・修正を行った。完成した質問紙を、自殺対策に関する研修やセミナーの参加者129名に配布し回答を得て、データ解析を実施した。【結果】スウェーデンで開発されたATTSを日本で使用するにあたり、相応しくない表現等は特になかった。本調査研究の結果、オリジナルの研究で得られた因子構造と異なる結果が得られた。【考察】今後、ATTS日本語版の信頼性・妥当性を更に検討するとともに、ソーシャルワーカーを対象とした研究をすすめていきたい。
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