研究概要 |
我々はこれまでに,深夜1時から2時までの1時間仮眠の効果を検討してきた.その結果,深夜帯の1時間の仮眠は,覚醒時間延長中における覚醒水準や,パフォーマンスの正確性の維持に貢献するものの,エラー反応のモニタリング機能に対しては有用な効果を示さないことが示唆された.また,この実験のデータから,刺激処理に関わる認知機能(正解率,反応時間,P300など)と比較して,Error-Related Negativityとerror-Positivityに反映されるエラー反応のモニタリング機能は,眠気に対して脆弱である可能性も示唆された. 本年度には,実際に2交替制勤務に従事する看護師696名を対象として,深夜勤務中の仮眠の取得状況について調査を実施し,実験で設定した睡眠パターンがどの程度,実際の看護師の勤務形態にマッチしたものであったかについて検討した.調査の結果,約90%の看護師が夜勤に仮眠の時間が組み込まれていると回答しており,さらにその約80%が仮眠の長さが「決まっている」or「ほぼ決まっている」と報告していた.仮眠の長さについては120分が最も多く(52%)続いて,90分{17%},60分(15%)となっていた.仮眠の時刻に関しては,仮眠の時刻が「決まっている」or「ほぼ決まっている」と回答した人のうち,33%が午前2時から,24%が午前1時からと回答していた.したがって,前年度に行った実験における午前1時から1時間の仮眠という設定は,ある程度妥当なものではあるものの,今後は深夜2時から2時間という仮眠のパターンを用いて再検討していく必要性があると考えられた.
|