研究概要 |
本年度は,昨年度の研究結果を踏まえ,より発展させた研究として大きく二つの研究を行った。まず一つは,怒り経験時の謝罪の影響に関する研究である。この研究については,怒り喚起(謝罪された)と怒り対象(謝罪した)の両側面から検討を試みた。具体的には,他者に対して怒りを喚起した際に,相手から謝罪された経験と他者の怒りの対象となり,自らが謝った経験について研究を行なった。怒り喚起については,約160のデータを収集し,分析した結果,15%が他者に怒りを感じても謝罪された経験がないと回答していた。また,60%が翌日には謝罪されていることが明らかとなった。なお,怒り対象の研究については,現在調査実施中(現在50ほどデータ収集した状況)であり,来年度も引き続き調査を実施し,怒り対象経験の基礎分析を行った上で,両経験について比較する予定である。 また,もう一つの研究では,怒り経験時の相手の行動が許しに及ぼす影響について場面想定法を用いて200名程度に調査を行った。具体的には怒り喚起場面(自分勝手もしくは侮辱場面のどちらか)と,相手の行動として謝罪もしくは説明(言い訳)のどちらかを提示し,その後の許しについて検討した。回答においては,1名の協力者に両場面と両行動を提示したが,同じ場面・行動が提示されることがないよう,組み合わせて提示した。研究の結果,場面に関わらず,相手が謝罪した場合は,説明よりも許しやすく,その後の関係も続きやすいことが示唆された。
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