研究概要 |
本年度は,昨年度より引き続き,怒り経験時の謝罪の影響に関する研究を行った。昨年度,怒り喚起(謝罪された)側について検討を行っていたため,本年度は,怒り対象(謝罪した)から検討を試みた。具体的には,自らが他者の怒りの対象となった際に,相手に謝罪した経験について研究を行なった。怒り喚起については,約160のデータを収集し,分析した結果,14%が他者を怒らせて繰った経験がないと回答していた。また,75%が当日には謝罪していることが明らかとなった。謝罪された経験については,翌日までに60%が謝罪されたと回答しており,両者の認知のズレが明らかとなった。また誰かの怒りの対象となり,謝罪を行った経験については約90%が相手は自分を許していると感じており,同じく90%が関係は悪化していない(現状維持かより良い関係になった)と判断していることが示された。 自分の行動・相手の行動と許しとの関連を検討したところ,許していると感じているときに,より実施されている行動はどちらの行動でも認められなかった。一方で,許していないと感じているときは,起こった相手の話を黙って聞いたり,その出来事が二度と起こらないようにしたり,相手を避けたりしていることが明らかとなった。怒りを感じた相手は,攻撃行動や攻撃の転嫁,回避逃避,社会的共有を許していないときにしていることが示された。 また本年度は,研究期間の最終年度であり,今まで行った研究知見のまとめも同時に行った。
|