本研究は、若年者の就業に向かう自信獲得メカニズムを明らかにすることを目的としている。今年度は、主に下記の2つの点について検討した。 1. 若年者の就業に関わる自信獲得メカニズムの検討 昨年度の研究実績(「若年者の就業に関わる自信」測定尺度の作成)に基づいて、NPO若年者就業支援団体の協力のもとに、長期インターンシップ(6ヶ月)に参加している大学生を対象に縦断的調査を実施した。また、対照群としてインターンシップに参加してない一般大学生にも調査を実施した。その結果、次の結果が明らかになった。 (1) 「若年者の就業に関わる自信」は、インターンシップの開始時から3ヶ月経過時に至るまで大きな変化は認められなかった。また、一般大学生とも大きな差異もない。しかし、インターン終了の6ヶ月経過時には大きな伸長が認められた。 (2) 特に、長期インターンシップを通した「若年者の就業に関わる自信」の獲得を左右するものは「経験から学ぶ習慣」であることを示唆していた。具体的には、「共通性の認識」や「差異性の認識」、「失敗原因の明確化」を実践している学生ほど、就業に関わる自信を獲得している傾向が認められた。 (3) 他方で、「就業意識」については、インターンシップ開始時から、3ヶ月、6ヶ月に至るまで、着実に明確になっていた。 これらの調査は、現在、他県のNPO団体とも連携し、継続して実施している。 2. 「他者経験の取り入れ」が就業への自信獲得に及ぼす影響 「他者経験の取り入れ」が就業に関する自信の獲得にっながるメカニズムを明らかにするための調査デザインを検討した。具体的には、他者経験の新規性(未知経験と既知経験)によって、異なる自信獲得のメカニズムを考慮した調査デザインを計画している。
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