本研究は、若年者の就業に向かう自信獲得メカニズムを明らかにすることを目的としていた。3年計画の最終年度の下記のことを実施した。第1に、昨年度から継続して、関西を中心とするNPO若年者就業支援団体の協力のもとに、長期インターンシップ(6ヶ月)に参加している大学生を対象とした縦断的調査を実施した。また、この他にも今年度から中部地方のNPO若年者就業支援団体からも同様の調査協力が得られた。最終的に100名超の若年者を対象に6ヶ月にわたる計3回の縦断的調査が実現した。これをもとに、長期インターンシップにおいて若年者の就業に関わる自信の獲得に関する心理的メカニズムの検討を行った。その結果、次のことが明らかになった。「若年者の就業に関わる自信」は、インターンシップの開始時では一般大学生とも大きな差異はないものの、3ヶ月から6ヶ月にかけて大きな伸びを見せていた。なおかつ、その伸びは「経験から学ぶ習慣」に規定されることが明らかになった。すなわち、複数の経験について共通性を認識する習慣は自発的に活動する自信の獲得に、また差異性を認識する習慣は、就業において計画や創造性などを考える自信の獲得に、そして成功要因を明確化する習慣はチームで働くことに対する自信の獲得に関連性をもつことを示唆していた。第二に、「若年者の就業に関わる自信」は、インターンシップ時に設定する期待(自己期待および他者期待)とその充足度とも関連性を示していた。すなわち、自己期待を設定し、そしてそれがインターンシップにおいて充足できている若年者ほど考える力に関する自信が獲得され、また他者期待を設定し、それを充足できている若年者ほどチームで働くことに関する自信が獲得される傾向を示していた。なお、これらの成果は平成23年度の学会で発表する予定である。
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