研究概要 |
本年度は研究実施計画のとおり, 前半期は会話実験を行うための環境整備に専念した。 後半期からは会話実験を開始し, データの収集に努めた。既知関係にある5人集団に対して, 学生の身近なテーマについて順位を決定するという課題を課し, 10分間のグループディスカッションを, 合計4回行わせた。そのうち, 2回目と3回日は普段取得している話者役割とは異なる役割を果たすように会話参加者に指示した。これは自分の個人特性やこれまでの経験を反映した役割取得レパートリーにない役割を経験することで, 新たな役割を獲得することができるのかを検討するための操作である。自由に会話に参加した1回日と指示を受けた2・3回目, 普段とは異なる役割を2度経験した後に自由に会話に参加した4回目それぞれにおける会話行動や役割取得行動を比較することにより, 個人レベルの話者役割獲得プロセスおよび集団レベルの話者役割分化プロセスについて明らかにすることができる。本実験により得られた21組105人の発話データおよび会話中の行動を記録した映像について, 現在分析を進めている。 分析パラダイムの開発については, 従来の量的分析に加えて, 話者の発話行動の時系列的変化を抽出するための新たな分析方法について検討を進めている。 同時に実験準備・実施と並行して, ディスカッションを行う集団の人間関係を明らかにするために開発したソシオプロフィール法およびCLASSという分析方法の妥当性を検証するために, 調査を実施し, その分析結果について学会発表を行った。
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