IT社会が発達した現在、家庭や公共の場にある機器や設備を利用することは、社会生活を送る上で必要不可欠である。それにもかかわらず、機器や設備の操作手順はますます難しくなっており、利用者が困難を抱える場面が増えている。この状況を改善する方策として、手順マニュアルの充実が挙げられる。本研究の目的は、手順マニュアルの理解において、どのような図をどのように提示すれば理解への動機づけが高まるのかを同定し、その認知プロセスを動機づけの期待理論の観点から明らかにすることである。 今年度は、昨年度の成果の発表と、引き続き具体的な研究を行った。 成果発表については、Cognitive Science Society年次集会(アムステルダム)、日本心理学会(立命館大学)、日本認知心理学会(立教大学)で口頭発表を行った。口頭発表の概要とポスターについては、代表者ホームページで公表している。また、来年度の完成を目指し、学術論文を執筆中である。さらに、研究テーマに関連する国内学会やシンポジウムを中心に参加し、本研究に関連する情報収集を行った。本研究のタイトルのキーワードである「図」、「動機づけ」、「マニュアル」だけではなく、対象を広げて「わかりやすさ」、「説明」をキーワードとして広く情報を集めることで、本研究の位置づけを明らかにし、本研究の新規性および重要性を明確にした。「わかりやすさ」、「説明」に関する自己の関連研究を広く含めて学会などで積極的に情報発信し、情報の収集を効果的・効率的に実施した。 本年度は、マニュアルに含まれる挿絵と本文の関連性と動機づけの関係についての研究を新たに実施した。来年度に学会発表を予定している。
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