軽度発達障害を疑われる子と親への早期介入プログラムを、保健センターで実施する事後フォロー教室とは別に立ち上げ、地域の保育園を使い、親への育児支援をおもな目的とした少人数によるフォローアップ親子教室を開催した。1クール8回(隔週・午前中)、4か月の開催とし、参加者は、新規と継続の参加者で構成され、原則2クールを継続しての参加とした。また平成20年8月のクールから参加する母親と子ども51名に研究の同意を得て、教室参加前後に母親の精神状態および子どもの発達検査等を実施した。評価の方法は、母親の精神状態の把握には、ベック抑うつ質問票(BDI)、PSI育児ストレス尺度を実施し、子どもには新版K式発達検査による発達評価、またオリジナルに作成した生活・かかわりチェック表を母親に記入してもらった。昨年度までに、2クール継続して参加し、教室参加後で協力が得られたのは、49名である。母親の抑うつ得点の変化は低下傾向が認められ、親の育児ストレスとくに、親としての有能さの下位尺度得点が有意に低下しており、親の育児支援の効果が認められた。また子どものDQの推移では、全体のDQおよび言語・社会領域が有意に上昇していた。また同年代の子どもを持つ母親を対象に同様の質問紙調査を行い、比較検討したところ、教室参加前のASDが疑われる子どもの親は、同年代の子どもを持つ母親に比べて抑うつの陽性率が高く、育児ストレス全般にわたってストレスを強く感じていることが明らかになった。こうした効果が、教室の参加後の長期予後とどのように関連するのか22年度より教室終了後5歳児を対象にSDQによるアンケート調査を開始した。また新版K式の通過率の検討などより詳細な検討を進める予定である。
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