研究概要 |
本研究の目的は, フォーマル・インフォーマルな学習におけるノートテイキングプロセスの分析・および支援方法の検討である。フォーマルは授業時の学習を, インフォーマルとは予習・復習といった授業外の学習を指す。ノートテイキングプロセスの分析では,視線の動きを記録することで学習者がどのような情報に注目してノートを作成しているのかを明らかにする。 20年度は, 授業時のノートテイクにおける眼球運動の分析に先立ち, Web情報探索における眼球運動の分析を行い, ノウハウの蓄積を行った。また, 大学生のノートテイクの実態調査や, 授業ノートの収集を行った。 Web情報探索における眼球運動の分析では, 課題としてレポート作成のための情報収集と, 旅行計画のための情報収集の2種類を設定した。実験には, 情報収集に関する専門的知識や経験を持つ図書館情報学専攻の大学院生5名と, 一般大学の学部生11名が参加した。分析の結果, 課題や経験の違いによる特徴として次のようなことが明らかになった。 ・レポート課題では, ユーザは検索結果から目的の情報を得ることをより重視していた。 ・旅行課題では, ユーザはサイト内の探索を重視していた。 ・大学院生は, 課題によって行動にあまり違いが見られないが, 学部生は課題によって行動が大きく変化した。 この実験におけるレポート課題は, 本研究におけるインフォーマルな学習に近いものと考えられる。今後は, 実験で得られた視線計測のノウハウをノートテイクにおける眼球運動の計測に適用する。大学生のノートテイクの実態調査や授業ノートの収集については, 今後分析を進めていく。
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