研究概要 |
(1)日常の相互作用と子どもの自己の発達の関連に関する理論的検討 これまで研究代表者が行ってきた研究(おもか幼児期の母子の会話に関する研究)の成果をもとに, 会話をはじめとした日常の相互作用において明らかになる「子どもの自己」に関して, "presentational selfとして概念化したものを, 海外の2学会・国内1学会において発表した。その後, そこで得られた意見をもとに理論の展開をはかり, これまでに執筆してきた理論的論文の内容を精緻化した。 さらに, 平成21年度の刊行を目指して準備中の, 子どもの生活する文脈(学校および家庭)をテーマとした国際的な文化心理学論文集に寄稿する形で, 上記の発表内容を含む, 会話と自己をめぐる英文論文をまとめた。なお, この論文のまとめや論文集の編集, 理論的な考察のため, これまで継続的に助言を受けてきたJaan Valsiner教授(アメリカ・クラーク大学)を訪問し, 共同的な考察・編集作業を行うとともにセミナーで研究発表を行い, 同教授およびクラーク大の教授より助言を得た。 (2) 「作文やスピーチを通した自己の表現」に関する実践的研究 生活綴方の教育実践に関する資料(特に, いわゆる「北方性教育運動」の中で行われた実践に関する教育史関係の資料)を収集するとともに, 現在の生活科教育などにおける「自己」への着目についても検討し, こうした実践や教科で目標とされている内容と, 研究代表者がこれまで行ってきた研究内容の接続について考察した。この結果については次年度以降論文としてまとめることを予定している。
|