研究概要 |
(1) 日常の相互作用と子どもの自己の発達の関連に関する理論的検討 会話をはじめとする日常の相互作用において明らかになる「子どもの自己」に関する理論的論文をまとめ,英文誌に投稿し現在審査中である。また,その内容の一部は国内1学会で報告した。その過程で,これまで継続的に助言を受けてきたJaan Valsiner教授(アメリカ・クラーク大学)を訪問し,理論的論文の改稿方針や今後の研究の方向性について助言を受けた。共著の一部として子どものことばと自己をめぐる理論的論考を執筆した(平成22年4月発刊)。なお,本年度刊行を目指していた,子どもの生活文脈(学校及び家庭)をテーマとした国際的な文化心理学論文集の編集作業を継続して行ったが,昨今の経済状況の影響およびイタリアの共同編著者の作業の遅れ等により,平成22年度出版の計画へと改められた。 (2) 「作文やスピーチを通した自己の表現」に関する実践的研究 昨年度実施した資料収集の結果をまとめ,心理学における「自己の育ち」への関心と,学校での作文(綴方)やスピーチ活動とのつながりを指摘する論文を執筆した(印刷中)。また,小学校で行われた日記指導の結果およびスピーチの内容について,縦断的に記録された資料を入手し,分析を行った。その結果から,定型的な形式を用いた子どもの表現にみられる変化から,「子どもの自己」を考察する視点を定めた。この結果を22年度に論文化する予定である。
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