少産を施策で誘導し少子化社会になった中国と、様々な子育て支援施策が整いつつある社会であるにもかかわらず少子化が続く日本において、両国の青年達・若い既婚者達は、結婚や子育て、家族、そしてそれらを取り巻く制度などをどのように考え、家族を巡る諸問題へどのように取り組んでいるのであろうか。この研究目的に即したインタビュー調査と質問紙調査を重層的に実施することで、問題の所在を探索し、政策による子うみ・子育てへの制限や援助という文脈における子育て意識を記述する。 本年度においては、連携研究者と学会等において情報や意見を交換し、また先行研究を踏まえながら、研究の方向性を確認し合い、調査の素案を作成した。またそれらをもとに予備調査として、日本の大学生に集団面接、および、自由記述による質問紙調査を行なった。これらの結果の一部は、日本発達心理学会第19回大会において報告した。 また、中国の就学前児の母親に対して行なった、子どもに対する養育態度に関する自由記述を分析した。この結果の一部を日本心理学会第72回大会において報告した。 これらの結果を共同研究者と検討、また、資料収集や幼稚園見学をするべく、天津中医薬大学へ赴いた。さらに、同大学の学部生に集団面接を行なった。この結果についても共同研究者と意見交換を行なった。この集団面接の結果については次年度において報告予定である。 次年度は、昨年度に引き続き、日中の少子化対策制度および子育て支援施策の方向性の異なりによる違いを検討する。また、これまでの調査を土台としだ日本においての質問紙作成と本調査を行なう予定である。また、中国においては予備調査を行ない、日本との結果をふまえつつ本調査を行なう予定である。
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