少産を施策で誘導し少子化社会になった中国と、様々な子育て支援施策が整いつつある社会であるにもかかわらず少子化が続く日本において、両国の青年達や若い既婚者達は、結婚や子育て、家族、そしてそれらを取り巻く制度などをどのように考え、家族を巡る諸問題へどのように取り組んでいるのであろうか。この研究目的に即したインタビュー調査と質問紙調査を重層的に実施することで、問題の所在を探索し、政策による子うみ・子育てへの制限や援助という文脈における子育て意識を記述した。 当該年度においては、以下のような研究活動を行なった。 1.日本の青年期男女に、結婚観、家族観、職業観に関する質問紙調査を行なった。 2.中国の青年期男女に、結婚観、家族観、職業観に関する質問紙調査を行なった。 3.研究成果の一部を、雑誌論文3件(研究紀要2件と雑誌論文1件)にあらわした。 4.国際学会(The 2nd Regional Symposium of CIFA (Consortium of Institutes on Family))において1件、国内学会(日本教育心理学会、日本心理学会、日本発達心理学会)において4件、合計5件発表した。 当該年度に行なった研究の成果については以下に記す。 中国の青年は日本の青年よりも元来家族に対して非常に親和性が高い様子が示された。また自分自身の生活が豊かになることと同様に家族の繁栄についても積極的に考えている態度がうかがえた。したがって、自分自身の進学や就職、結婚などは、自分自身と家族の将来に関わっていることであると捉え、積極的かつ慎重に計画を立てたり将来像を描いていたりしていることが明らかとなった。
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