研究課題
本研究は、これまで解明されてこなかった幼児の描画活動のプロセスに注目し、その発達過程を明らかにすることを目的としたものである。本研究では最新の行動計測機器「デジタルペン」を用いることで、完成された絵画(何を描いたか)ばかりでなく「描画活動のプロセス」(どのように描いたのか)を分析することを可能にした。「描く」という行為は学童期に必要とされる書字能力の発達と連続的な関係にあると予測されるため、子どもの描画活動のプロセスを初期段階から詳細に分析しその発達過程を解明することによって、学童期の子どもの書字教育や、書字障害を持つ子どもへの適切な教育支援の方法を提案するものとなると予想される。平成21年度は、昨年度に収集した2・3・4・5歳児(各30名、計120名)の書字・描画データを解析し、ストローク数・筆圧・筆速等のスコア化を行った。その際、フランス国立健康医学研究所(I.N.S.E.R.M.)のフィリップ・ワロン(PhHippe WALLON)氏とマシュー・ジョベール(Mattiew Jobert)氏の協力を得て、描画解析ソフトウエア'Elian'の適用が可能となり、解析の効率化を図ることができた。また、フランスとの文化比較を目的として、日本のアスペルガー症候群の子どもを対象に「レイの複雑図形模写課題」「DAM人物画テスト」等のデータ収集を進めており、ワロン氏のデータとの比較を試みる予定である。さらに、ワロン氏・ジョベール氏に加えてパリ第8大学の臨床心理学者クロード・メスマン(ClaudeMESMIN)氏を立命館大学に招き、2009年10月28日(水)、「発達障害(自閉症、LD、ADHD等)とコンピュータ利用によるその診断」他の講演会を行い、本研究を遂行するにあたり大きな成果を得た。
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Journal of epidemiology Supplement
ページ: 435-440
乳幼児医学・心理学研究 18
ページ: 17-27