研究課題
本研究は、これまで解明されてこなかった幼児の描画活動のプロセスに注目し、その発達過程を明らかにすることを目的としたものである。本研究では最新の行動計測機器「デジタルペン」(Nokia製)を用いることで、完成された絵画(何を描いたか)ばかりでなく「描画活動のプロセス」(どのように描いたのか)を分析することを可能にした。「描く」という行為は学童期に必要とされる書字能力の発達と連続的な関係にあると予測されるため、子どもの描画活動のプロセスを初期段階から詳細に分析しその発達過程を解明することによって、学童期の子どもの書字教育や、書字障害を持つ子どもへの適切な教育支援の方法を提案するものとなると予想される。平成22年度は、3・4・5・6歳児(各35名、計140名)および高機能自閉症児10名の書字・描画データを収集した。データの内容は、おもにDAM人物画検査、ベンダーゲシュタルトテスト、幾何学図形の模写、レイの複雑図形課題などであった。収集されたデータは解析ソフトMatlabおよびElianにより、ストローク数・筆圧・筆速等のスコア化がなされた。また、高機能自閉症児のDAM人物画検査およびレイの複雑図形に関してはElianの自動診断機能を用いてその特徴を数値化した。これらの研究成果は、国内外の学会(The 1^<st> Global Congress for Consensus in Pediatrics & Child Health、日本発達心理学会第22回大会)において発表された。本研究は行動計測機器を用いて幼児の描画活動に関する多くのデータを収集し、そのプロセスを定量的に分析している点において他に類を見ないものである。
すべて 2011 2010
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Journal of epidemiology
巻: 20 ページ: 435-440