研究概要 |
本研究の目的は,幼稚園における屋内と屋外の様々な遊び場所において,幼児の会話を含めた行動を連続的に観察し,1)幼児の会話や行動から遊び場所をどのように認識しているのかについて明らかにする,2)近接する複数の幼児が保持している対象物の関係性について調べ,幼児が他児との相互交渉を行ううえでの対象物の役割について明らかにすることである。本年度は,昨年度に引き続き,観察対象児の撮影と各遊び場所に設置している固定デジタルビデオカメラによる撮影の2種類の方法でデータを収集した。データの分析についても昨年度と同様に,遊び場所,他児との社会的状態(観察対象児が1人でいるのか,それとも他児と近接または相互交渉を行っているのか,そして近接または相互交渉を行っている場合はその相手について記録),発話や会話の内容,そして観察対象児が持っている対象物と他児の持っている対象物の関連,及びそれらのカテゴリーの相互関連性について分析している。現在,得られたデータのうち,2つ目の目的である仲間関係における対象物の関係の重要性を定量的に示すために分析を行い,得られた結果を論文にまとめているところである。具体的には屋外場面における仲間関係において,同じ種類の対象物が重要であり,それが屋内と屋外の仲間関係の違いを生じさせているというものであった。また,今後の論文を作成するにあたり重要となる遊びの概要について,小児歯科臨床に「遊びを測る(1・2)」,「遊びと環境(1・2)」としてまとめた。
|