研究概要 |
1. 研究目的 本年度の研究調査では, 平成20年度交付申請書の目的1の一部, および目的2の一部について検討した。それは, (1)各種条件における分配行動の発達的変化を把握すること, (2)分配行動の個人差に対する親の関わり方の影響のあり方を検討することである。本年度においては1組の子ども-保護者ペアに対して2回の調査を試みたが, 2回目に参加したペア数は少数で, 親子の情動制御パターンの関与を検討できなかった。 2. 研究方法 生後13〜30ヶ月の子どもとその保護者40組が調査に参加し, 学外施設の個室内で親子の心身に負担にならないための予防と対応に配慮して調査を行った。分配行動の場面の録画・観察は平成20年度交付申請書が示すように, 好み一致, 好み一致・障壁, 好み不一致, 好み不一致交代条件で実施した。また予備的に, 分配行動の観察において, 喜び・好み一致/不一致条件および嫌悪・好み一致/不一致条件の4条件での分配行動も観察した。そして親の関わり方については親子の自由遊び場面を録画・観察し, Meins(2003)のMind-mindednessの行動指標に沿って評定した。 3. 研究成果 (1)分配行動の発達 : 好み一致, 好み不一致, 好み不一致・交代, 好み一致・障壁の4条件と月齢が応答の仕方にどのように影響するのか統計的に検討したところ, 特に有意な結果は得られなかった。サンプル数を増やし再度検討することが問われた。 (2)母親の各行動と月齢と適切な応答の成否の関連を検討したところ, 有意な結果としてまず, 嫌悪・一致条件で他者の好みに適切に応答する子どもの母親はそうでない子どもの母親に比べて, 子どもの行動を模倣することが多かった。また, 嫌悪・不一致条件で他者の好みに適切に応答する子どもの母親はそうでない子どもの母親に比べて, 子どもの視線変化の先にある対象を頻繁にまたは長時間見ることが分かった.
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