研究概要 |
本年度においては,全国29都道府県で開催されたひきこもり親の会において調査を実施し,ひきこもり状態にある人(以下,本人)とその家族の生活の質(Quality of Life)について調査を行った.また,ひきこもりの再発の実態やひきこもり本人のパソコン,携帯電話,ゲーム機等の利用について調査を行った.さらに,ひきこもりの行動論的メカニズムに関する実証的データ収集を行った. ひきこもり本人を対象とした調査では,質問紙調査では91名を対象とした.本人を対象とした調査から,本人のQOLが低下している実態が示された.また,調査に回答したひきこもり本人は携帯電話を多く利用していることが明らかにされた.また,行動論的観点からの調査によって,調査に回答したひきこもり本人は一般大学生と比較して体験の回避の傾向が強いことが示された. 家族を対象とした調査研究においては,383家族から得られた回答を解析に用いた.家族を対象とした調査から,本人同様に家族のQOLも低下していることが示された.また,家族調査において報告されたひきこもり本人はパソコンを多く利用しており,携帯を利用している人は半数に満たないことが示された.また,行動論的観点からの調査から,ひきこもり状態の家族においては,正の罰と負の罰が機能していない実態が明らかにされた. 調査に加え,英国にImproving Access to Psychological Therapies (IAPT) programmeの実地調査を行った.また,家族を介したひきこもり状態にある人の受療促進プログラムを実施した.
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