本研究の目的は、心理・社会的ストレスが発症要因、増悪・再発要因、維持要因として作用するメニエール病患者に対し、問題となる認知的、行動的変数を調査により明らかにすること、また、調査結果で示された認知的、行動的問題を改善するための認知行動療法プログラムを開発し、その臨床適用と効果について実証的データを用いて検証することである。本研究においてメニエール病患者の認知的、行動的問題が明らかとなり、認知行動療法プログラムが開発され、その有効性が実証されれば、耳鼻咽喉科による内耳の治療と併せて認知行動療法を用いることにより心理・社会的ストレスのコントロールが可能になり、メニエール病の改善に繋がる新たな治療選択肢となり得る。 平成20年度は、メニエール病患者における認知的、行動的問題について調査を実施するために、調査用紙の作成と調査計画立案を行い、次年度の調査実施に向けて準備を整えた。具体的には、まず研究を始めるに当たり必要な物品を揃えて環境を整備し、調査用紙作成に必要な文献・尺度収集を行った。さらに、臨床研究に必要な2つの研究協力病院を確保し、本学における予備調査、研究協力病院における本調査実施の計画を立てた。また、本研究の成果であるメニエール病患者に対する認知行動療法の効果に関する論文を本邦査読誌に発表する予定であり、そのための準備を進めた。
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