研究概要 |
平成20年度前半に, 青年期のコミュニケーション・スキル(CS)を測定する尺度作りを行なった。心理学分野の社会的スキール(SS)の先行研究より, 社会的スキル尺度を参考として, より広いスキルを測定するコミュニケーション・スキル尺度を作成した。その尺度の信頼性と妥当性を検討するため, 大学生を対象とし, 調査を行なった(牧野, 印刷中)。その結果, 作成されたコミュニケーション・スキル尺度の信頼性と妥当性は非常に高いものであった(牧野, 印刷中)。 平成20年度後半には, このコミュニケーション・スキル尺度を利用して, 現代の中学生のコミュニケーション・スキルの現状と精神的健康との関係を検討する基礎研究を行なった。大阪府内の公立中学校2校の中学生1年生から3年生まで, 約500名を対象とした大規模調査を行なった。調査内容項目は, 現在のコミュニケーション・スキル, ソーシャル・サポート(周りの友人から得ている支援の程度), 精神的健康状態などであった。調査の結果, 全体として中学生のコミュニケーション・スキルは大学生に比べ多少低い, クラスの中にコミュニケーション・スキルが極端に低い生徒が約1割存在する, 学年別にみると1年生のコミュニケーション・スキルが低い, 性別でみると女性のほうが男性よりもコミュニケーション・スキルは高いことなどが明らかとなった(牧野, 印刷中)。また, コミュニケーション・スキルの高い生徒ほど周りからソーシャル・サポートを得ていた。これらは, 現役の中学生を対象とした貴重な研究成果であり, 今後, 中学生のコミュニケーション能力, 中学生の人間関係の構築と継続に関する研究に大きく貢献すると考えられる。
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