研究概要 |
平成21年度前半に,中学生を対象としたコミュニケーション・スキル訓練の開発を行った。この訓練プログラムの開発を効率的に行うために東京学芸大学相川充教授からの支援を受けた。平成20年度に開発したコミュニケーション・スキル尺度の内容を基に実際にスキルを身につけていくプログラムを開発した。その際には,社会的スキル訓練の先行研究も参考にした。具体的には,導入を行った後,教示(言葉で説明する)→モデリング(モデルを示す)→リハーサル(繰り返し練習)→フィードバック(ほめる)→般化(他の場面への応用)の5つの技法を用いて訓練を行うプログラムを開発した。また,訓練のサポーターとなってもらう大学生に訓練の目的や効果を説明した。 平成21年度後半に,このプログラムの適用性を確かめるために,夏休み中に無作為に選ばれた少人数の中学生に対して訓練プログラムを実施した。大学生がスキル訓練のサポートを行った。その結果,もともとコミュニケーション・スキルの低い生徒には1日(約5時間)の訓練の直後にもコミュニケーション・スキルへの促進効果がみられた。特に,会話スキルや関係構築スキルに促進効果がみられた。しかしながら,もともとコミュニケーション・スキルが高かった生徒に対しては天井効果がみられ,訓練による促進効果はみられなかった。平成22年度以降は,この訓練プログラムの効率を考え,30名程度のクラス単位で実施し,訓練の精度を確認する。
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