研究概要 |
本研究の目的は, 自らの問題や情動と適切な距離をとるための自己制御の試みとして, 気晴らし方略を接近的に活用するための予防的介入法を開発することである。 本年度は, 次年度以降の心理教育で提供する知識やスキルについて情報を得るため, これまで行ってきた認知行動的な実践研究の研究知見を整理するとともに, 1. 気晴らし方略の活用に関する情報収集, 2. 肯定的情動や問題解決行動を促進する気晴らし方略の活用に関する実証的検討を行った。 1. 気晴らし方略の活用に関する情報収集 日常的にストレス対処方略として用いられる気晴らしや, 臨床場面における介入技法として用いられる代替的思考や活動について, その内容や影響について先行研究の概観及び情報収集を行った。日常的な気晴らしの活用については, 大学生や大学院生を対象とした自由記述調査を実施し, 気分の種類による活動内容の変化について重要な示唆が得られた。 2. 肯定的情動や問題解決行動を促進する気晴らし方略の活用に関する実証的検討 大学生を対象に, 気晴らしの活用と問題解決行動との関連を検討するために質問紙調査を実施した。ストレス状況には, 大学生にとって問題解決の必要性が高いと思われる学業課題を抱える場面を設定し, 気晴らしの活用と肯定的情動や問題解決行動との関連を検討した。 これらの調査を通して, 肯定的情動や問題解決行動を促進するための関連要因を明らかにし, 次年度以降に心理教育的介入を行う上で重要な示唆が得られた。
|