本研究は、広汎性発達障害(PDD)女児・女子を対象としたグループプログラムを立案し、臨床実践を通した行動分析的検証を行うことを目的としている。20年度は、PDD女児・女子特有の問題を「個人と環境との相互作用」からとらえ、発達段階や成長に着目し、必要な行動レパートリーを獲得・拡大できる支援プログラムの作成を行った。この作成には、PDDやAD/HD専門家(小児神経専門医・心理士・訓練士等)と保護者からの意見、関連文献や調査を用いた。そこで、PDD女児・女子にとって必要な知識やスキルについて次の仮説を立てた。1、女子・女性にはいろいろなタイプ・個性があることを知り、好みの服装や遊び・趣味等に違いがあるということを理解する。2、自分のからだのことを知り、身だしなみ(下着の必要性・服装によって姿勢を注意すること・スキンケア等)に関心をもつ。3、自分をまもる大切さと方法を知る、の3点である。これらをテーマとするプログラム構成とし、各プログラムでは、参加者の既存の知識とスキルをアセスメントし、さらに必要な知識とスキルを習得できる内容とした。ここでは、応用行動分析でいう「ケースフォーミュレーション」との関係からみていくことができる。かつ、保護者への情報提供と子育ての支えとして機能する。この手続きは、応用行動分析の「ストラテジーマップの作成」そして「いかに運用していくか」に位置する。今後、臨床実践を通して女児・女子対象のグループ活動の効果とその維持について、支援の「ストラテジー(戦略)」と「タクティクス(戦術)」の関係を検討していく予定である。
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