本研究は、広汎性発達障害(PDD)女児・女子を対象としたグループプログラムを立案し、臨床実践を通した行動分析的検証を行うことを目的としている。21年度は、20年度に立案したグループプログラムを軸に、個別対応とグループ活動を実施し、現在も継続中である。PDD女児・女子にとって必要な知識やスキルについて3つの仮説を立てたが、本グループにはピアヘルパーとして大学生や大学院生を参加させていることから、同性の人や仲間に出会う機会として有益な効果があったことが、参加児の発言から伺えた。グループには「学びの時間」と「エクササイズ」の時間を設定し、アスペルガー障害やPDDなど、それぞれの障害や困り感について学び、対処法や工夫の仕方を行動分析的に考える場面とした。それに応じて、セルフマネージメント(自己記録法等)のホームワークを行い、困り感や実際の行動が変容することが結果として得られた。また、感情を理解しコントロールできることを学ぶプログラムを継続中のケースもあり、今後も検証をすすめていく。グループ活動としては途中であるが、参加児の困り感や不適応行動は軽減し、適応的な行動が拡大していることが得られている。 学校等の環境でさまざまな随伴性にさらされてきた彼女たちにとって、自身の特性と過去の結果(経験)は、現在の行動パターンに多大な影響を与えている。このために、行動が制限され、自己否定や自信の欠如等の続いている場合、支援のための「ストラテジー・マップの作成」と「運用」に位置するグループ活動は、彼女たちの行動を拡大させ、肯定的自己理解の獲得と維持につながるといえる。今後も、この活動を継続させ、さらに支援の「ストラテジー(戦略)」と「タクティクス(戦術)」の関係を検討していく予定である。
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