状況に応じて自らの感情を調整する能力(情動制御)は、幼児期に発達するとされるが、近年の保育園における調査では年長に「キレる」行動をもつ子どもが増加してくることが報告されている。これは、自らの否定的感情の調節が困難な子どもたちが、周囲が長ずるに従って、クラスの中で目立つようになっていっているとも考えられる。 上述の仮説を出発点とし、縦断研究を行い、幼児期の否定的感情の発達と日常の行動との関連を捉えることが本研究の目的である。研究の対象の場を「対人場面」とするのは、鹿島(2000)の対人場面の不安感情への対処が非対人場面に比して時間をかけて形成されているという報告による。 研究2年目に当たる平成21年度の研究実施は以下の通りである。 年度前半には20年度の横断的検討の成果をまとめ、特に3歳児の結果について、日本教育心理学会第51回総会にて発表した。そして年度後半には今後3年間にわたって行う予定の縦断調査を開始した。これは複数保育園の園児を対象に行い、100名以上の3歳児を中心に今年度は子どもと調査社との個別面接調査と保護者・保育者を対象とした質問紙調査を行った。現在1年目の調査を終え、データ検討中である。 平成22年度は日本教育心理学会で発表した、3歳児の結果に加えて4、5、歳児の結果も追加し、否定的感情認知の横断的検討についてまとめ、21年度調査のデータ検討も継続していく予定である。また年度後半には、縦断調査の2年目の調査に着手する予定である。
|