状況に応じて自らの感情を調整する能力(情動制御)は、幼児期に発達するとされるが、近年の保育園における調査では年長に「キレる」行動をもつ子どもが増加してくることが報告されている。これは、自らの否定的感情の調節が困難な子どもたちが、周囲が長ずるに従って、クラスの中で目立つようになっていっているとも考えられる。 上述の仮説を出発点とし、縦断研究を行い、幼児期の否定的感情の発達と日常の行動との関連を捉えることが本研究の目的である。研究の対象の場を「対人場面」とするのは、鹿島(2000)の対人場面の不安感情への対処が非対人場面に比して時間をかけて形成されているという報告による。 研究3年目に当たる平成22年度の研究実施は以下の通りである。 年度前半には21年度実施の縦断調査の質問紙データを入力・分析し、今後3カ年の縦断研究のデータベースを作成した。そして年度後半には2年目の縦断調査に着手した。5園の保育園児140名ほどに調査者との個別面接調査を行っている。また、同時期に保護者・担当保育者を対象とした質問紙調査を行った。全て1年目の調査と同内容であり、今後内容を縦断的に検討する予定である。 本研究は保育園児との個別面接調査期間が約半年にわたるため、データ検討、発表がやや遅れがちであるが、平成23年度は日本教育心理学会で個別面接調査の言語内容の縦断的検討について発表し、データ検討をまとめていく予定である。 また研究の最終年度として、3年目の縦断調査を行う予定である。年長に達した子どもたちの状況を詳しく捉えるため、最終年度は保育者調査に一つ質問紙を加え、より詳細に行う予定である。
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