研究概要 |
「研究の目的」 本研究は,幼児期の対人場面で喚起される否定的情動(例えば不安・怒り)に対する認知と情動制御の発達を,3歳時から就学にかけて横断的調査と縦断的調査を併用して考察することを目的とする。また本研究では情動認知と情動制御発達の様相と日常生活での行動調査(Child Behavior Checklist:CBCL)との関連,先行研究より導き出された関連要因との検討の検討までを研究期間中に行いたいと考える。 具体的調査としては,幼児の感情認知課題と情動制御に関して幼児への図版を用いた面接調査の縦断施行,保護者への質問紙調査(CBCL,しつけ方略)の実施,通園している園での問題行動調査(CBCL)の実施を3年にわたって行う。初年度と2年目では横断的調査による否定的情動認知と制御発達の関連についてまとめ,以降は縦断的調査による情動制御と問題行動との関連を検討する。 本研究の結果により,情動制御の困難を持つ子どもについて、園や親への支援を含めた早期の効果的な介入を提供し,児童期・思春期以降の外向的・内向的問題行動発展の減少に寄与することが本研究の意義であると考える。 「平成23年度研究実施計画と実績概要」 縦断的調査を引き続き継続した。平成23年度には引き続き、福岡県内5園の保育園に調査の協力を受けていただき、約120名に調査を実施している。5歳児122名を中心に5~6歳児のデータを収集した。 (方法)・否定的情動制御に関する図版を用いた子どもの個別面接調査 ・園担当者・保護者双方によるChild Behavior Checkhst(CBCL)の実施(5-6歳児のみ) ・幼児の問題行動の個人差を測定するための保育者評定尺度(担当保育士対象) ・保護者対象しつけ方略調査の実施/・保護者の子どものネガティブな感情に対する反応調査(CCNES)なお、年度前半には平成21,22年度の言語内容データの検討のための試論について学会発表を行った。
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