研究課題
本研究では、顔刺激の表情の違いが高齢者の注意の解放にどのような影響をおよぼすのかを検討した。【方法】実験参加者:実験参加者は慢性的な疾患を除き心身の健康な高齢者11人(平均71。7歳)であった。装置:コンピュータ、15インチ液晶モニタおよび外付けキーボードを使用した。手続き:画面中央の十字を参加者が注視した後、同位置に線画の顔刺激が800ms呈示された。顔刺激は中立顔,同要素からなる幸福顔,同要素からなる怒り顔の3種類であった。その後、ターゲット刺激(三角形)が画面左右のどちらかに呈示され、左のばあいキーボードのzキーを、右のばあい/キーを押すことが要求された。キーを押すとターゲット刺激は消失した。顔刺激が呈示されてからターゲット刺激が呈示されるまでの時間(ギャップ)条件には4種類あった。【結果と考察】正答した試行についてターゲット刺激が呈示されてからの平均反応潜時を分析したところ、ギャップ条件の時間が長いほど反応潜時は短くなった。表情(3)×ギャップ(4)で2要因の分散分析をおこなった結果、表情(p<.05)とギャップ(p<.001)の主効果が有意だった。交互作用はみられなかった。下位検定の結果、幸福顔よりも怒り顔の反応潜時が短かかった(p<.05)。この結果から、高齢者は怒り顔からの注意の解放が幸福顔のそれよりも速く、時間間隔による解放の促進効果も大きいことが示唆された。
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発達心理学研究 20
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Cognitive Studies 16
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The Quarterly Journal of Experimental Psychology (in press)