研究概要 |
本研究は, 長期間での刺激への接触が, 当該刺激に対して感じる親近性および新奇性, 感性評価に及ぼす影響を検討した。視覚呈示する刺激情報として, Barsalou, et.al. (1999)の刺激図に準拠して作成した熱帯魚の絵を用いた。熱帯魚はA種とB種の2種類あり, それぞれ10次元構造. Dimension 7〜10は同種内の全ての事例で同一であった。A種をターゲット刺激, B種をディストラクター刺激とする。典型性の設定は, 高典型群がD3〜D10を共有, 中典型がD5〜D10, 低典型にはD7〜D10を共有させることで行った。共有していない次元では, 各絵に独自の値を持たせた。参加者内要因として, 刺激典型性(高, 中, 低)と呈示回数(減少, 一定, 増加)を設定した。呈示インターバルとして2週間, 1週間, 5分を設定した。呈示回数の減少条件では, 呈示インターバルの2週間から5分に向けて, 5回→3回→1回, 一定条件は3回→3回→3回, 増加条件では1回→3回→5回であり, 総呈示回数はすべて9回であった。実験は小集団で行われた。刺激呈示はパソコンのモニターを通じて行い, 実験参加者には方向付け課題として分類課題を行うことで刺激を偶発学習させた。刺激の呈示順序は小集団ごとにカウンターバランスをとった。刺激学習後に, 参加者には刺激を1枚ずつ呈示し, 刺激に対する感性評価(9件法)と再認判断(2件法)を求めた。実験の結果, 呈示刺激への感性評価は, 全ての刺激典型性条件において, 減少条件, 増加条件, 一定条件の順で高かったが, 呈示刺激同士を統合して作成したプロトタイプ刺激への評価は一定条件で最も高かった。
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