研究概要 |
本研究の目的は,空間関係の視覚情報処理における大脳左右半球の相互作用を明らかにすることである。この研究において申請者は空間関係を(1)質的空間関係と(2)量的空間関係のふたつに分類し検討を行った。この検討にあたり,質的空間関係は左右半球で統合的な処理を行うことで効率的に処理されるという仮説をたてた。一方,量的空間関係は左右半球の相互作用を出来るだけ抑え,処理を分離させることで効率的に処理されるという仮説をたてた。これらの仮説の検討にあたり,行動実験を用い相互作用の機能的側面について,そして脳画像計測により機能と神経機構との関連について検討を行った。これまでの行動実験の結果から,上述の仮説を支持する結果が得られた。今年度は,これまでの行動実験の結果を英文で論文としてまとめた。この成果は心理学,認知科学の分野において国際的に高い評価を得ている伝統的な学術論文誌であるCogniti ve Scienceに掲載された。また,Cognition and Emotion, Brain and Cognitionなど心理学,認知神経科学の分野で国際的に評価の高い学術論文誌にもそれぞれ論文を掲載することが出来た。また,現在,脳画像計測を行った実験については結果をまとめ,論文として投稿する準備を進めている。脳画像計測を行った実験の結果は平成23年度中に論文を完成させ,国際的な学術論文誌に投稿する予定である。
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