研究課題
20年度は、食品の錯視現象を探る研究の一環として、食品の外観から鮮度を知覚するメカニズムを実験心理学的に検討した。キャベツとイチゴをサンプルとして、その鮮度が劣化する過程をデジタルカメラで撮影した。これらの写真を刺激として、被験者に鮮度の評価を行なわせたところ、被験者の鮮度の評価は時間の負の関数となることが明らかになった。これは、人間が、視覚によってある程度正確に鮮度を評価できることを示している。次に撮影した画像の輝度ヒストグラムパターンを入れ替えた画像を作成した。それを刺激として、被験者に鮮度の評価をさせたところ、新しいパターンの画像に古い輝度ヒストグラムを適用した画像は、古く見えることが明らかになった。この現象は輝度ヒストグラムのパターンにより、食品の鮮度が変化して見える錯覚が生じていることを示すものである。さらに、乳児期における食品視知覚の萌芽を探索するために、乳児を対象とした心理物理学的実験を行なった。実験では、色の典型性が高い観察対象として顔・果物、典型性が低い観察対象として花のカラー画像を、その色相を反転させた画像と左右に並べて5〜6ヶ月児に提示した。色合いを反転した画像と、従来の画像の観察時間に偏りがあれば、乳児は両者を異なるものとして観察していると考えられる。その結果、果物のような典型色がある対象の認知に色を手がかりとするようになるのは生後6ヶ月以降であることを示唆する結果を得た。
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