平成22年度は、まず前年度に引き続き、マルザーノ(R.J.Marzano)、ウィギンズ(G.Wiggins)、エリクソン(H.L.Erickson)らを中心に、スタンダードに基づくカリキュラム設計に関する米国の研究と実践の歴史、および現在の動向を整理するとともに、「真正の学習と学力」をもたらす学校カリキュラムの構造を提起した。そして、その成果を『現代アメリカにおける学力形成論の展開-スタンダードに基づくカリキュラムの設計-』東信堂、2010年として刊行した。 また、前年度に構成したスタンダード設定とそれに基づく単元設計の枠組みを、アクション・リサーチを通じて洗練・再構成する作業を行った。これまで継続的に協働研究を続けている、広島大学附属東雲中学校や香川大学教育学部附属高松小・中学校に加え、三次市立川西小学校などとの協働研究も開始した。さらに、高次の学力の育成を目指す日本の先進校(京都市立高倉小学校、福井市立至民中学校など)を訪問し、資料収集、授業観察、教職員へのインタビューを行うとともに、戦後日本の教育実践研究の歴史的蓄積にも検討を加えた。 これらのアクション・リサーチや教育実践研究の検討の成果の一部については、日本カリキュラム学会、日本数学教育学会、日本教育学会等で発表を行った。また、アクション・リサーチを通して蓄積された事例、および、開発したスタンダードの試案等を集成し、中間報告書として刊行した。
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