研究概要 |
「科学的に示された事実」と称するためには一定の手続きが必要である.仮説形成・実験による仮説検証,多くの科学者の手によるレビューと追試実験という客観科学的な手法を通して新しい理論が形成されること,そして既存の理論が覆されるためには,これまでの積み重ねを明確に否定する仮説(およびその証拠となる実験結果)が多くの専門家の間で共有される必要があることを理解するだけでも,日常の多くのケースで「科学的」であるかどうかおおよその判断が可能になるだろう.このような科学者の探求活動を体験的しながら学ぶことができる学習支援システムの開発と改良,そしてこのシステムを用いた学習カリキュラムの構築が本年度の課題であった.昨年度までに,学習支援システムの根幹部分であるWebベースのシステムについて,授業の中で利用することでその実用性の確認を検討していた.本年度は,それを元にシステム実装上の複数の問題点を改良した.Webベースシステムは,教師が授業の中に導入しやすいだけでなく,学生が自宅学習で利用できるなど利便性は高い.しかし一方で,授業などで学生が一度にサーバーにアクセスするために,その負荷に耐えうるシステムでなくてはならず,実際の授業で学生がストレスなく利用できるという実用上の課題は最低限解決しておく必要があった.またそれに加え,システムで学ぶ具体的な学習内容とその構成についてさらに本格的に検討し,学習支援システムとしての学習効果を測る方法についても考察を行った.
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