研究概要 |
広告やテレビの情報番組などの日常にあふれる「科学的に示された事実」について,その確からしさをおおよそ判断することができるような,いわば広義の「科学的リテラシー」の獲得を手助けするような学習形態およびそのカリキュラムを開発することが本研究のもっとも大きな目標である.具体的にその手法として科学者の探究プロセス,すなわち実験を通した仮説形成・検証プロセスの体験学習に注目した.Webベースの教育情報システムを用いて仮想的なマイクロワールドを学習者に提供し,学習者がシステム上で探究活動を繰り返すことで科学的に示された事実の厳密性を理解することを目指した. 本年度は,(1)Webベースの教育情報システムの改良と,(2)科学的リテラシーとして具体的に学ぶ内容について体系的にまとめることを目的とし研究を進めた.その成果は次の様なものである. (1)Webベースのプロダクションシステムの改良を進め,他のアプリケーションから本システムの機能を呼び出し利用できるようWeb API機能を追加した.Web APIを使うことでカリキュラム開発を独自に行っている研究者および教育者が,インターネット越しに本システムの諸機能を自らのカリキュラム(およびシステム)に取り込むことができる. (2)また,本システムで学ぶべき内容については,PISAにおける科学的リテラシーの枠組みを参考にしながら特に小・中学生を対象に検討した.PISA科学的リテラシーの「状況・文脈」「科学的能力」「科学的知識」「科学に対する態度」という4つの枠組みに対応付けながら,具体的なカリキュラムについて検討した.
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