研究概要 |
「保護者が抱く組織イメージと学校信頼の関係-個人・集団レベルデータを用いた分析-(愛媛大学教育学部紀要)」では、保護者による学校の組織イメージが、スタッフクオリティ(教員の指導力や熱意)、インプレッション(一般的・表層的印象)、パフォーマンス(学校経営の特徴や教育成果)の3次元より構成されていることが明らかにされた。また、保護者が抱く学校組織イメージについては学校間での有意な分散が認められている。これらのイメージ因子のうち、学校に対する信頼を決定するのはスタッフクオリティ(属性要因の統制後)であるとする結果が得られた。ただし、こうした傾向はすべての学校において認められるわけではなく、都市部近郊あるいは郊外の中・大規模校において認められる現象である。これらの地域では、学校組織が保護者の信頼を得るために、教員の指導力の高さや熱意・努力日常的に保護者に伝えていく必要がある。 「公立小学校における保護者セグメントの決定要因-学校との相互作用,家庭効力感,コミュニティ効力感の視点から-(日本教育行政学会年報)」では、学校に対して否定的態度を示す保護者の特性として、学校・担任とのつながりの脆弱さに加えて、保護者相互や地域社会とのつながりも脆弱であることが明らかにされている。経済階層・母親就労形態・一人親家庭等の属性要因よりも、人と人とのつながりの弱さ(無縁化・孤立化)が、学校を批判する行動傾向に関連している。したがって、学校組織では、PTAとの連携協力による「孤立」|傾向の保護者に対する事前の支援アプローチが効果的であると考えられる。
|