研究概要 |
本科研費期間(2ヵ年)の最終年度にあたり,研究実績は以下の通りである. 1.NPO組織における重要な人的資源となるボランティアの行動実態について,既存統計を用いて把握した.これは,2009年3月開催の日本NPO学会や同年7月のNPO学会・市民社会研究フォーラムで報告の上,「個人・属性別にみたボランティア行動の傾向-『2006年社会生活基本調査(生活行動編)』を用いて-」と題して,『聖徳大学生涯学習研究所紀要』(No.8)に投稿し,掲載済みである. 2.NPOを担う人材に焦点をあて,質的な事例分析を行なった.これは,『地域福祉の今を学ぶ』(ミネルヴァ書房,2010年)にて「アクティブシニアが多彩なボランティア活動に取り組む」と題してシニアNPOの実情を報告した.また,国際NGO等を担う非営利組織として,フィリピンの貧困支援を行なうNPO(2009年11月),及びバングラデッシュにおける現地最大NGOのBRACと企業・政府のパートナーシップの現場(2010年2月)の視察に参加し,NPO及びNGOの雇用創出の現場を事例把握した. 3.ボランティアやNPOに必要な能力プログラムの試案の作成とボランティア評価軸の設定については,職業能力開発手法(クドバス手法)を用いて,次の4点の分析を行なった.(1)ボランティアを行なう学生を対象に,「ボランティアによって身につく能力・技術」を分析し,大学におけるサービス・ラーニングの展開と質的な評価分析を行なった.(2)ESD概念を生涯学習の視点から精密化し,福祉教育・ボランティア学習学との関係から考察した.(3)相模原市を対象に,市民大学プログラム研究を進め,「市民講座の創造について,学びを活かす仕組みの構築」を報告した.(4)まちづくりコーディネーターに必要なプログラム研究に関するアンケート調査を2010年1月に実施し,詳細な検討を今後行なう予定である.
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